日本維新の会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で拡大している状況を受け、今後の感染拡大を抑制するためには日本政府の早急な対応が必要なものと早々に判断し、感染拡大防止の対策を求める提言書を日本政府に提出致しました。日本政府の感染拡大防止に対する迅速な対応および積極的な貢献を求め、下記の提言書を提出したことをここにご報告致します。
衆議院議員 沢田良による党提言書解説
日本維新の会新型コロナウイルス感染症対策に関する提言
【1】これまでの新型コロナ対策の検証と総括
新型コロナ感染拡大のいわゆる「第5波」までに出された様々な対策についての「検証」と「総括」が必要である。とりわけ
・飲食店等に対する営業時間短縮要請、利用人数制限、アルコール提供の制限
・都道府県をまたぐ移動自粛要請を通じた人流抑制
・イベント等における入場者数制限や参加者の把握・管理等
といった対策が、どの程度の直接的な感染拡大防止効果があったのか?
政府コロナ分科会等の専門家による「検証」と「総括」を行い、国民に分かりやすく説明すること。これがないままこれまで同様の対策を惰性で続けるならば、自粛疲れの国民や影響を受ける事業者等の理解や協力を得ることは、今後難しくなるといわざるを得ない。またこの「検証」と「総括」を着実に行うことで、ワクチンパスポート・陰性証明書のより有効な活用につなげることが可能となる。
【2】 水際対策(抗原定量検査→PCR 検査)
空港検疫ではもともと PCR 検査が行われていたが、2020年7月より抗原定量検査に変更されている。その理由として厚生労働省は「抗原定量検査はPCR検査と同じ程度の感度と特異度を持っており、また検査施行者の負担は抗原定量検査の方が少ない」ことを挙げている。しかしながら、医学的には「偽陰性者を少しでも少なくする」には抗原定量検査より PCR 検査を行うことが効果的であると言われている。また昨今のPCR 検査は唾液検体でも可能であるし、結果が出るまでの時間は従来よりも大幅に短縮されているため、PCR検査が抗原定量検査に比べて、空港検疫の現場の負担を大きくしているとは言い難い。オミクロン株の国内流入の速度を少しでも下げるためには、空港検疫での検査を抗原定量検査から PCR検査に切り替えること。
【3】 水際対策(2021年11月29日の政策決定過程)
新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大に伴い、2021年11月29日、政府は民間航空会社に国際線新規予約の停止要請を発出した。その後、航空便未予約の海外出張者の帰国が困難になる等の理由でこの方針は撤回されたが、出入国管理や検疫、日本人の基本的人権を守る観点から考えると、あまりにも一貫性のない判断だと考える。このような方針が、関係省庁との間でどのように調整が行われた上で、政府としての方針決定がなされたのか、検証と説明を行うこと。また、出入国規制対象国(地域)の決定と解除の基準を国民にわかりやすく説明すること。
【4】 5歳~11歳の新型コロナワクチン接種(「努力義務」規定の適用除外)
現在の新型コロナワクチンは予防接種法上、「臨時接種の特例」と定められているが、5歳~11歳についても 2022年(令和4年)2月以降の接種開始が想定されている。「臨時接種の特例」においては、市町村長は接種対象者に対しては「接種勧奨」をすることとされており、接種対象者については原則として接種を受ける「努力義務」の規定が適用される。一方で妊娠中の者については使用実績が限定的であること等を踏まえ、「努力義務」の規定の適用が除外されている。5歳~11歳の小児に対する新型コロナワクチン接種については12 歳以上に対する接種よりも慎重な検討が必要であるとの認識のもと、従来の「臨時接種の特例」という位置づけを維持しつつも、
・妊娠中の者と同様の、「努力義務」規定の適用除外
を検討すること。
【5】5歳~11歳の新型コロナワクチン接種(フォローアップ体制整備と差別の禁止)
5歳~11歳の子どもへの新型コロナワクチン接種については、先行する成人への接種よりもより慎重に実施されることが必要である。具体的には接種にあたっての「メリット」「デ メリット」を保護者や子ども自身が十分に理解できるような説明の機会や資料などを準備すること。さらには、接種前、接種実施時、接種後のきめ細かいフォローアップ体制の構築をすること。またワクチン接種を希望しない子どもと保護者に対しては、特別扱いされない(差別されない)よう十分な配慮をすること。
【6】5歳~11歳の新型コロナワクチン接種(ワクチン製剤の選択)
COVID-19罹患による心筋炎・心膜炎発症に比べて頻度は低いものの、10代、20代の男性の新型コロナワクチンの2回目接種後4日程度の間に心筋炎・心膜炎を発症する事例が多い傾向にある。とりわけ武田/モデルナ製ワクチンの方がファイザー製ワクチンに比べて心筋炎・心膜炎が疑われた報告頻度が高い傾向(100 万人当たり武田/モデルナ製が28.8人、ファイザー製が3.7人:〈参照〉2021年10月15日厚生労働省:「新型コロナワクチン種後の心筋炎・心膜炎について」より)がある。よって、5歳~11歳に対して使用するワクチン製剤の選択は慎重に検討すること。
【7】3回目の新型コロナワクチン接種(大規模接種センター)
自衛隊が運営する大規模接種センターでのワクチン累計接種回数は、東京約131万8000回、大阪約64万6000回と、大きな役割を果たした。3回目の新型コロナワクチン接種についても、以前と同様、東京、大阪を中心に設置を早急に検討すること。
【8】3回目の新型コロナワクチン接種(各自治体の裁量権確保、ワクチン製剤の安定供給)
2回目接種終了後から3回目接種までの期間については、「8か月」と定める医学的根拠を明確にするとともに、各自治体の判断で3回目接種の時期を最短6か月まで前倒しできるようにすること。またその前倒しを行う接種対象者の選定については各自治体の判断を尊重し、国で一律の基準は設けないこと。また各自治体へのワクチン製剤供給が滞らないよう国は十分に配慮すること。
【9】 陰性証明書
ワクチンパスポート・陰性証明書の活用は、感染拡大防止と経済活動の再開にとって重要である。一方で、陰性証明書については、現在は医療機関が発行することが主となっており、陰性証明書発行希望者の経済的負担が大きいため、実際には利用することが難しくなっている。よって陰性証明書を低価格で発行できるようにすること。また、陰性証明書発行には医師による診察が不可欠であるが、一定の基準をクリアした検査会社が、医師の診察無しでも陰性証明書を発行できるようにして、利便性の向上を図ること。
【10】 新型コロナ感染後およびワクチン接種後の後遺症フォロー
新型コロナ感染症治癒後の患者の中には、一定期間経過後も様々な症状(後遺症)に悩まされる方が存在する。しかしながら、そういった方への医学的フォロー体制については不十分であるため、患者側も様々な医療機関を転々と受診しつづける方が少なくない。こういった後遺症に対する対応策を国として早急に用意すること。
新型コロナワクチン接種後の副反応について、日本では「副反応疑い報告制度」のもと、主に医師を通じて一定の基準に基づいた副反応事例の収集・評価を行っている。しかしこの制度のみでは、たとえば接種後長期にわたって続く副反応(いわゆる後遺症)等は国が十分に把握できない可能性がある。また、そのような症状を訴える被接種者の相談窓口や医療機関での専門外来等も未整備である。このような新型コロナワクチン接種後の様々な後遺症の実態把握ができるようなシステムの構築と、相談窓口、フォローアップできる人材や医療機関の整備を行うこと。
【11】 自宅療養中の死亡者に関する検証と今後の対策
新型コロナウイルス感染者が必要な医療や健康観察を受けられずに自宅で死亡したケースについて、死亡に至った経緯等の分析・検証を行うこと。またご遺族が、患者の死亡に至る過程(医療機関、保健所、行政機関等の間のやりとりの記録等)を知りたいと希望される場合には、その記録内容について速やかに開示を行うこと。また第6波以降については、患者に関する情報(関係者間のやりとりの記録等)を確実に保存すること。そして新型コロナ患者や家族への対応は、どのような医療資格者が、どこまでの範囲の対応を行うことができ るのか(無資格者が対応して良い範囲はどこまでなのか)等について整理を行うこと。
【12】 新型コロナ患者への早期治療と保健所への届け出
現在、薬事承認申請が行われている新型コロナ内服治療薬は、発症からできる限り早い時期の投与により、重症化リスクを下げる薬剤と言われている。早期発見・早期治療ができる体制を整えることが、結果としては重症患者を減らし、病床逼迫を防ぐ切り札であると認識している。そのため、市中の医療機関で新型コロナへの感染が判明した患者に対しては速やかに新型コロナ内服治療薬を投与し、医療機関による保健所への届け出については治療開始後となっても構わない等、柔軟な制度運用とすること。
【13】 感染症法等の改正に向けた論点整理の前倒し
岸田総理は、感染症法改正案を通常国会には提出しない旨を表明された。「中長期的な課題を6月までにしっかり洗い出した上で法改正」を考えていくとのことであったが、確実な医療従事者や病床の確保の為には、法改正が必要であることは明白である。これまでの新型コロナ病床の稼働率の低さなど、6月を待たずとも検討可能な課題の論点整理は速やかに進めること。
【14】 米軍基地からの感染拡大防止策
今回のオミクロン株の感染拡大経路のひとつに在日米軍基地が挙げられる。米軍人・軍属および基地に出入りする関係者等への確実な検査実施や行動制限、感染者や濃厚接触者等の隔離等を徹底すべく、日米が緊密に連携をとり、厳格な感染拡大防止策を早急に講じること。
【15】 感染症法上の取り扱いと濃厚接触者の隔離期間短縮について
現在、新型コロナウイルス感染症は「新型インフルエンザ等感染症」として取り扱われているが、疾病の特性や医療提供体制、社会経済活動への影響等を鑑み、感染症法上の位置づけを「5類感染症」あるいは「5類感染症相当」へ変更することを早急に検討すること。また濃厚接触者の自宅待機期間については、現在の「原則14日間」を、オミクロン株に関す る研究結果を踏まえた上で速やかに短縮し、医療をはじめとする社会インフラが止まることのないような体制づくりを急ぐこと。
1.医療提供体制
大都市圏を中心に「医療崩壊」の危機が顕在化してもなお、医療提供体制の抜本的な強化を図ることが出来てこなかった最大の理由は、新型インフル等特措法や感染症法といった法律の制約があったと考えられる。「要請・命令」するところ には、補償がセットであることは勿論、「守らなければ罰則」という有事の際の政府の権限と責任のあり方、政府と国民の 受益と負担の関係を明らかにすることが必要である。 そこで、医療関係者に対する命令規定を新設し、医師、看護師等の確保に資するとともに、感染症対策の中心を保健所か らかかりつけ医に大転換するなど、感染拡大の新しいフェーズに対応した法制度を整備する。
1)医療従事者の確保のための命令規定の新設
入院やホテル療養の対象外となる新型コロナ患者の受け皿として大阪府等で準備が進められている、大規模な「臨時医療施設」構想の実現に向けて課題となっている医師、看護師など医療従事者の確保を可能とするため、十分な経済的補償を前提とした上で、新型インフル等特措法31条に医療関係者に対する命令規定を新設する。
2)かかりつけ医中心の感染症対応への転換
自宅療養中の新型コロナ患者の容体悪化の早期検知と適切な医療機関への搬送を実現するため、軽症者のケアを保健 所中心から「かかりつけ医」が担うよう転換する。具体的には、政令を改正し感染症法上の位置づけを見直すとともに、自 宅療養中の患者を身近な「かかりつけ医」に登録する新制度を創設する。また、往診体制を拡充し、看護師のみの派遣を も柔軟にできるよう検討する。
3)退院勧告基準、隔離解除基準の見直し
コロナ感染を確認したが入院できない、受け入れ医療機関が見つからないという医療提供体制の逼迫の解消のため、最 新の知見を踏まえ、医療・療養がスムーズにまわるよう、退院勧告基準、隔離解除基準を見直し(短期化)する。
2.ワクチン、治療薬、検査体制
軽症者をはじめとする自宅療養者ケアを保健所中心から「かかりつけ医」が担うよう大転換するためには、抗体カクテル 療法等の治療薬を病院だけでなく宿泊療養、更には診療所にもふんだんに供給する必要がある。また、重症化リスクの高い地域にワクチン、治療薬を集中投下するなど有事に相応しい優先順位を付けていく必要がある。
1)「抗体カクテル療法」処方範囲の更なる緩和
軽症者向けの「抗体カクテル療法」が病院の外来診療、更には宿泊療養者にも処方が開始されたが、処方範囲の更なる 拡大を進める。具体的には、皮下注射も可能となる見通しであることを踏まえつつ、一定の基準を満たした診療所でも処 方できるようにする。
2) ワクチン、治療薬の大都市傾斜配分と接種促進
ワクチンの追加接種「ブースター接種」や軽症・中等症向け治療薬「抗体カクテル療法」等のためのワクチン・治療薬の確 保を急ぐとともに、それらを大都市圏など感染拡大地域に重点配分する。また、特に接種促進が課題となっている40代、 50 代への接種については、国の大規模接種センターでも対応を強化する。
3)国産ワクチン・治療薬の早期開発・承認への財政支援
国産ワクチンや治療薬の研究開発・生産体制について、安全保障の観点から抜本的に強化するため、財政支援等を行う。
4)検査体制の強化
PCR検査や抗原検査については引き続き必要な検査数を維持して運用するとともに、民間で行われているPCR 検査に 医療機関との連携を促し、検査陽性者が確実に保健所や医療機関につながる体制を強化する。
3.先送りしない経済対策・生活支援
緊急事態宣言の度重なる延長で経済低迷が長期化することが確実であり、追加の経済対策が必要であることは論を俟 たない。一方で、政府がこれまで行ってきた経済対策をみれば、2020 年度予算の総額の5分の「前後が執行されずに繰り越されているのが現状であり、適切な財政出動をしていないことが明らかである。これは政治のマネジメントの失敗と言 わざるを得ない。改めて 30 兆円規模の補正予算を編成する必要があるが、予算規模を確保することを優先する余り、予算の質が低下しては本末転倒である。申請ベースの制度から申請不要のプッシュ型制度に改めるとともに、減税を中心と した経済対策と十分な事業・生活支援を行うべきである。
1)消費税減税、社会保険料の減免
コロナ禍の長期化により傷んでいる経済全体の再生を図るため、誰もが公平に効果を享受できるよう、当分の間、消費税 を5%に減税する。また、社会保険料の支払いも引き続き事業者・国民の大きな負担となっており、一定の基準を設けて社 会保険料の支払いの減額または免除を行う。
2)事業者への十分な補償、自治体支援
休業要請をした業種や、その影響を受ける関連事業者への補償はいまだ十分なものになっていない。先の補正予算でも協力金などへの支出が想定された「地方創生臨時交付金」の多くが未執行のまま残っており、制度を抜本的に見直すとともに、活用しやすい持続化給付金の第二弾を検討するなど、事業者や地域経済を支える大胆な財政支援を行う。また地方 自治体に対しても、医療提供体制の強化や事業者支援などが臨機応変かつ十分に行えるよう地方創生臨時交付金の大都市傾斜など強力な財政支援を講じる。
3)子育て支援の拡充
デルタ株の蔓延により学校教育や保育現場でも感染が拡大しているが、その対策は心もとないものとなっている。特に学 校や保育園の休みが増えているにもかかわらず、「小学校休業等対応助成金」が「両立支援等助成金(コロナ対応特例)」に改悪された。政府から改善の方針は発表されたが、使い勝手の良い制度を早急に復活・拡充させるなど、子育て家庭が安心できる予算を確保し、追加支出を行う。
4)オンライン教育等の推進・支援
感染拡大防止の観点からも各自治体が進めている教育現場のオンライン化を引き続き支援・促進するとともに、文科省の 方針によりオンライン出席が必ずしも従来の「出席」とは認められていない状況を改めるため、学校や自治体の判断によってオンライン授業でも「出席停止」扱いから「出席」扱いに変更できるよう通達する。一方で、一部の大学で感染症対策を 理由に一切の対面授業や活動が行われていない状態を改善し、状況に応じて小中高校と同程度に対面授業を行うことを 促し、学費等の負担についても十分な支援を講じる。
5)ワクチンパスポート・陰性証明書の活用
ワクチン接種者による経済活動が経済復興のカギを握ることから、ワクチンに高い重症化予防効果があることに鑑み、ワク チンパスポートを早期に発行する。GOTO 事業とあわせてワクチンパスポートまたは陰性証明書の提示によるインセンティブを付与するなど、ワクチンパスポート等の活用によって、コロナからの経済復興を加速化させるとともに、ワクチン接種へのインセンティブを与え、接種のより一層の加速化を図る。
4. ロックダウン法制の整備
現行の新型インフル特措法に基づく緊急事態宣言の発令等をもってしても感染拡大を終息させることができないなど最 悪の事態を想定し、同調圧力でなし崩し的に自由が侵害される状態を防ぐためにも、十分な補償とセットで住民の外出自 粛を徹底する「ロックダウン法制」(特措法第31条の6第2項及び第45条1項に命令規定を新設する等)の検討を急ぐ。
5. 国会議員歳費2割削減の延長
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、国会議員の歳費を2割削減する措置を講じてきているが、10月末が期限とな っているため、国会議員歳費法を再改正し、措置期間を更に延長する。日本維新の会としては歳費の削減は3割に引き上 げての恒久化やボーナスの削減も実施すべきと考えるが、まずは半年の延長を速やかに法制化する。
1.補正予算、消費減税、国会延長
三度目の緊急事態宣言が発令され延長される中で、事業者と国民 の窮状はますます深刻化している。特に、一時支援金に続く月次支援金には月額の上限があるため、中堅中小企業を中心に不公平感が高まっている。
こうした事態に対応するための令和3年度第一次補正予算の編成、 5%への消費減税を速やかに措置すべきである。立法府も、通常国会 の会期を延長する等事実上の通年国会として政府の取り組みを全力 でバックアップすべきである。
① GDPギャップ等マクロ経済の厳しい状況も踏まえつつ、事業 資金、生活資金、そして地方財政を支える30兆円規模の補正予 算を編成する
② コロナ禍の長期化により傷んでいる経済全体の再生を図るため、 誰もが公平に効果を享受できるよう、当分の間、消費税を5%に 減税する
③ 補正予算とともに有事モード法制(3. 参照)を整備するまでの間、通常国会の会期を延長し、事実上の通年国会とする
④ 持続化給付金、家賃支援給付金の復活等を通じ、緊急事態宣に伴う措置に協力し、あるいは影響を受けている中小企業・小規模企業者への支援を継続する
⑤ コロナ禍の影響を決算ベースで評価し事後的に損失補填する中 堅企業向け支援制度を創設し、月次支援金等既存の支援策との選 択制を導入する
⑥ 緊急小口資金等を抜本拡充した事後審査方式給付制度の創設など国民の生活資金に係るセーフティネットを強化する
⑦ 新型コロナ対応の最前線で事業者の経営と住民の生活を支えている地方公共団体に対し地方創生臨時交付金を追加配分する
⑧ コロナ禍を通じて深く傷んでいる地方財政を再建するための大胆な財政措置を講じる
2.医療提供体制、ワクチン接種・治療薬
新型コロナウイルスの感染防止対策と経済活動との両立を図って いくためには医療提供体制の強化が不可欠であり、本年2月に感染症法に基づく勧告対象に医療機関を追記するなど党として都道府県知事の権限の強化を図ってきた。
今後は、病院等の機能再編や医療のデジタル化といった改革を平時から断行するとともに、かかりつけ医等の応召義務を強化する等 により感染症の診療・検査体制を抜本的に強化していく必要がある。
① 人員配置や設備面で急性期の受け入れ能力がない病院が多過ぎる現状を改めるため、医療提供体制の機能再編の更なる加速化を
② 保健所に係る目詰まりを解消するとともに感染症に係る「かかりつけ医」の応召義務を強化する等により感染症の診療・検査体制を抜本的に強化する
③ 国産ワクチンや治療薬の研究開発・生産体制について、安全保障の観点から抜本的に強化する
④ 市区町村や大規模会場、更には大企業の職域接種に加え、商工 会議所や協会けんぽとも連携し中小企業の職域接種を加速化する
⑤ ワクチン接種記録システム(VRS)などマイナンバーの活用 を推進するとともに支払い(レセプト)についても完全オンライ ン化を実現する
⑥ ワクチン接種を受けることのできない者への不当な扱いを防止 しつつ、ワクチンパスポートを感染防止措置の一環として積極的に活用する
⑦ ワクチン接種の担い手については、判例法理に基づく違法性の阻却判断を待つことなく、立法措置を通じて確保する
3.有事モード法制の整備
コロナ禍を通じた最大の教訓は、法律であれ憲法であれ、緊急事態 に係る規律を平時からしっかり整備しておかなければ、かえって国民の権利や自由への制限が「なし崩し的」に恒常化されるという事実 であった。
そうした観点から、平時から「最悪の事態」を想定し、必要な民主 的統制の下で内閣が平時モードと有事モードとをギアチェンジでき る複線的な統治システムを構築し、「分厚い民主主義」を実現する必要がある。
① 医療提供体制に係る判断など地域が主体的に取り組むべき事項 を除き必要な権限を国に集中させる等国と地方の関係を大胆に組み替え可能とする
② 災害派遣に関する自衛隊法の枠組みも活用しつつ、全国あるいは地方ブロック毎に重症病床を融通し患者を配転する仕組みを整 備する
③ 最悪の事態を想定し、入管法改正など水際規制を抜本的に強化するとともに、国民の外出等私権を制限するロックダウン法制を 整備する
④ 人流を抑制する等の目的で特定業種の営業を停止するなど「特別の犠牲」を強いる場合の補償のあり方について速やかに検討し 制度化を行う
⑤ 一定の臨床的効果を確認した段階で治療薬の緊急使用を許可し、 通常の治験手続きに囚われることなく治療の選択肢を提示出来る ようにする
4.東京オリパラの開催
東京オリンピック・パラリンピックの開催可否は、政局的な争点と するのではなく、ワクチン接種状況や国内感染状況、医療逼迫状況な ど客観的指標を設け、広く国民の理解を得た上で早期決着を図るべきである。
開催する場合には、選手や関係者と外部との接触を遮断する「バブ ル方式」の厳格化を図り、ルールに違反すれば日本滞在に必要な大会参加資格を国ごと剥奪する等の強い措置を求める。 仮に開催しないとなった場合には、開催を延期する等を可能とするよう関係者と協議を行うべきである。